ここからしか見えない京都
  

希少な文化財を期間限定で特別公開

京都の冬の風物詩「京の冬の旅」が3月18日まで開催されている。「京の冬の旅」は京都市と京都市観光協会が取り組む観光キャンペーンで、今年で56回目となる。2022年が茶人・千利休の生誕500年、茶人・織田有楽斎の没後400年にあたることから、第56回目の今年は、「建築の美」と「茶人ゆかりの禅寺」という2つのテーマを中心に、14カ所の文化財を特別公開している。

なかでも見逃せないのが、今年初めて公開される大徳寺塔頭(たっちゅう)大光院(たいこういん)、「おひがしさん」の呼び名で親しまれる東本願寺の御影堂門、そして40年ぶりの参加となる非公開寺院、西陣の(こう)聖寺(しょうじ)だ。

大光院は豊臣秀吉の弟、秀長の菩提寺として、奈良・大和郡山で創建されたが、後に大徳寺山に移された。見どころは、狩野探幽作の屏風を仕立て直したと伝わる客殿の襖絵。そして、戦国時代の軍師・黒田如水(官兵衛)好みといわれる茶室「()(あん)」も、よく見ると一般的な茶室との違いが随所に。ちなみにこの茶室は、茶席の露地に黒田長政、加藤清正、福島正則の三武将が石を寄進したことから「三石(みついし)の席」とも呼ばれる。

奥州伊達家伝来の屏風絵を仕立て直したという大光院の襖絵

東本願寺で特別公開される御影堂門は、高さ27㍍の堂々とそびえる木造楼門で、上層には釈迦如来、弥勒菩薩、阿難尊者が安置されている。楼上からは東山連峰や京都市街を一望できる。

東本願寺の御影堂門に安置された三尊

武将茶人の古田織部が建立したことから「織部寺」とも呼ばれるのが興聖寺。織部の木像を祀る茶室「雲了庵」や、地面を掘り下げた場所に手水鉢を据えた「降り蹲踞(つくばい)」など、茶人の粋を垣間見ることができる。さらに写真家・杏橋幹彦氏から奉納された方丈の「青波の襖」は、海の荒波にもまれているような構図と強い印象の青色に思わず息を飲む。まるで海の中にいるような錯覚さえ覚える。

興聖寺は仏の教えを学びたい人に座禅や定例会を開催している

【放送時間】
京都浪漫 悠久の物語
「冬こそ京都へ!非公開文化財特別公開~東本願寺・興聖寺・大光院~」
2022年2月14日(月) よる8時~8時53分
BS11(イレブン)にて放送

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