ここからしか見えない京都
  

十一回目「マイ・ベスト・桜の名所」

清少納言は「春はあけぼの」、つまり春はなんていっても夜明けだと枕草子で綴っていますが、私にとっての春はやっぱり、「桜」です。ベタですが。
京都には桜の名所がたくさんありまして、仁和寺、平野神社、哲学の道、円山公園、清水寺、醍醐寺、平安神宮、城南宮、東寺、蹴上のインクライン……と、キリがなく、あらためて調べてみたら、まだまだ見どころはあるようです。

平野神社の桜 画像素材:PIXTA

そして調べたことで、行ってみたい!と気になった桜の名所を見つけました。
亀岡市の『和らぎの道』というところです。
七谷川沿いに約1キロにもわたって桜並木が続くそうで、丹波地方指折りの桜の名所だとか。
来年は必ず『和らぎの道』へ行って、薄紅色に染まる桜のトンネルの中を歩いてきたいと思います。

和らぎの道 画像素材:PIXTA

いやはや、京都は本当に見どころがたくさんありますね。
あらためて、京都の層の厚さに驚かされました。

さてさて、桜好きな方には、それぞれ『マイ・ベスト・桜の名所』があるのではないでしょうか?
先日、一緒にお仕事をさせていただいた京の旅を案内する『らくたび』の代表・若村さんは、「僕は南禅寺ですね」と仰っていました。
私にとって南禅寺は、紅葉のイメージが強かったのですが、桜の季節もおすすめだそうです。

南禅寺 画像素材:PIXTA

夫のお気に入りは、『哲学の道』で、「桜が満開の時季に、あそこで読書をしたい」と言っていました。

哲学の道 画像素材:PIXTA

ですが、夫に小説を読む趣味はありません。
人に言うと驚かれますが、私が書いた本は、1ページも読んでいません。
それに対して私はなんの不満もありません。
というのも、基本的に夫はフィクションを好まず、ノンフィクションのコラムや記事を好んで読む傾向にあり、現実では起こりえないエンタメの展開は『ありえへんやろ』と脳内の突っ込みが激しくなるようです。
目の前で、鋭く、そして激しく突っ込まれては、著者としてはたまりませんので、できれば今後も読まないままでいてほしいと心から思っています。

話がそれましたが、私の好きな桜の名所は、高瀬川。
高瀬川沿いに五条から二条辺りまで続く桜並木がとても好きです。
五条、四条、三条と高瀬川に沿った木屋町通を北上しながら、老舗の飲食店や京町家など情緒のある雰囲気を眺めるのも楽しく、はらはらと散った桜の桜の花びらが小川に流れていく様子がとても素敵です。
また、昼と夜とでは、違う顔を見せてくれるのも魅力のひとつで、昼はとても爽やかな雰囲気なのですが、夜はとてもしっとりとした情緒があります。
そんな高瀬川桜散策のクライマックスは、二条下るの『一之船入』でしょうか。

高瀬川一之船入 画像素材:PIXTA

ここにはかつての運河であった高瀬川を行き来していた高瀬舟が再現されています。
この場所がとても好きで、著作にも何度も登場しています。
『京都寺町三条のホームズ』では、6巻の表紙にもなっていたり……。

京都寺町三条のホームズ 6 新緑のサスペンス(双葉社)

それが私の『マイ・ベスト・桜の名所』です。
このエッセイを読んでくださった方、ぜひ隠れた桜の名所や『マイ・ベスト』がございましたら、ぜひ教えていただきたいです。

ではでは、今月も新刊のお知らせを……
『京都寺町三条のホームズ18巻~お嬢さまのミッション~』
香港の大富豪のお嬢様の京都ガイドを務めることになった清貴。
傍若無人なお嬢様に対して、清貴はさらに腹黒。
そんなガイドは思わぬ事件に巻き込まれていって──!?
京都案内もたっぷり詰め込まれた一冊です。
4月14日発売。
どうぞよろしくお願いいたします。

京都寺町三条のホームズ 18 お嬢様のミッション(双葉社)
この記事を書いた人
望月麻衣
 
京都在住の道産子。もの書き。 『京都寺町三条のホームズ』(双葉社)『わが家は祇園(まち)の拝み屋さん』(KADOKAWA)『京洛の森のアリス』(文藝春秋)『太秦荘ダイアリー』(双葉社)など書籍発売中。  
 

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