ゆったりとした時の流れと、非日常的空間が堪能できる京都ステイ。徳川家康が築城し、15代慶喜が大政奉還した二条城の東大手門の向かい側、由緒ある豪商・三井総領家の屋敷跡に「HOTEL THE MITSUI KYOTO」が2020年11月に誕生しました。
重厚な「梶井宮門」前で、常盤貴子さんを出迎えてくれたのは総支配人の楠井学さん。梶井宮門は三井総領家の邸宅・油小路邸にあった表門を一度すべて解体し、宮大工が修復、再建したホテルのシンボルです。楠井さんに招かれ、館内に足を踏み入れると、中庭を望む開放感あふれるラウンジへ。すぐそばにある「茶居」では、立札式のお茶で宿泊者をもてなします。
中庭はおよそ1300平方㍍の池泉回遊式庭園で、三井総領家がかつて所有していた灯籠や景石などの遺構を配しています。庭と建物が一体となった様を表す「庭屋一如」という、日本建築古来の考え方に基づき、宿泊棟が中庭を囲むように建っているのも特徴的。池に面してくつろぎのスペースがあり、庭園を眺めながら食事やティータイム、読書などをゆっくりと楽しめます。
そしてホテルステイの楽しみで欠かせないのが、食。日本料理、イタリア料理、バー&ラウンジなど、HOTEL THE MITSUI KYOTOにはクオリティーの高いレストランがあります。なかでもイノベーティブ(=革新的)な料理を提供する「都季」は、海外の一流ホテルで研鑽を積み、フランス料理界の巨匠アラン・デュカスに師事した浅野哲也さんが料理長を務めます。鉄板を舞台に、秘められた素材の力を存分に引き出すのが浅野さんの手腕。フランス料理と日本料理を昇華させた品々は、食べる者を新境地へと誘います。
今回のもう一つの“京都ステイ”は世界遺産・仁和寺の宿坊・御室会館。
仁和寺は888年(仁和4年)、第59代宇多天皇が、先帝の光孝天皇発願の遺志を継いで完成させ、自ら出家して僧房をかまえたことから“御室御所”と呼ばれました。以後、皇室出身者が代々住職を務める門跡寺院として、最高の格式を保ちました。1994年(平成6年)、「古都京都の文化財」として、ユネスコの「世界文化遺産」に登録されるなど、新たな歴史を刻んでいます。
御室会館に宿泊すると、通常非公開の金堂で朝の勤行に参加することができます。金堂は、仁和寺のご本尊・阿弥陀三尊が安置される御堂。堂内には四天王像や梵天像も安置され、壁面には浄土図や観音図などが描かれています。最近ではゆっくりと自分自身と向き合いたいと願う、女性のおひとり様の滞在も多いそうです。食事は館内にある和食処「梵」で。人気メニューの「精進御前」は、昆布、シイタケ、かんぴょう、大豆などから作った精進出汁が心と身体に優しくしみていきます。
【次回放送情報】
■京都画報 第9回「歴史と美に触れる京都ステイ」
BS11にて6月8日(水)よる8時~放送
今回は旅の重要な要素である宿泊先に注目。“歴史と美”の観点からピックアップした極上の宿を常盤さんが訪れます。
※ 放送後、BS11オンデマンドにて6月12日(日) 正午~ 2週間限定で見逃し配信いたします。