一目で丁寧な手わざから生まれたであろうことがわかる美しい竹製バッグを手にして現れた常盤貴子さん。「日本の伝統工芸を担う職人さんの世界に強い憧れがあります。これも、バッグアーティストが秋田の伝統工芸を活用して制作したものなんです」と語る言葉は、”クオリティーライフを送る大人”そのものでした。そんな常盤さんに10の質問。
元々京都は大好きでしたが、年齢を重ねるにつれ、日本の文化や歴史についてもっと勉強したいという気持ちが溢れてきた頃に、この番組のご縁をいただきました。京都の伝統文化を支えるプロフェッショナルの美意識に触れ、毎回背筋が伸びます。贅沢でご褒美のようなお仕事。視聴者の皆さんと一緒に京都を学び、楽しみたいと思っています。
お着物は10代から大好きでした。20歳頃に着付けを習ったのですが、仕事が忙しくなって通うのは断念。30歳前後でアンティーク着物に興味を持ったことを機に、独学で帯結びや合わせ方を学びました。
『京都画報』の出演が決まったときにも、「ぜひ着物で出演したい」と申し出たんです。着物離れが進んでいますが、視聴者の方々にも着物で京都へ行きたいと思っていただけたら嬉しいですね。
大河ドラマ『天地人』に出演したときに、所作の指導を受けた経験が生きているかもしれません。所作を覚えるのに必死で緊張していたのですが、「最初はぎこちなかった俳優さんが、ドラマの後半では所作なんて気にならなくなっていく。その変化を見るのも楽しみなのよ」と教えてくれた大河ドラマファンの友人の言葉で肩の力が抜けました。
京都でも屈指の茶懐石の老舗、瓢亭14代目当主・髙橋英一さんがふとつぶやかれた一言もありがたいものでした。「料理人というのは、出汁に命を懸けるもの。まず出汁を召し上がっていただけると嬉しいんですよ」。さりげない言葉から、作法とは相手の思いを汲み取って応えるためにあるのだなあと勉強になりました。
作庭家の小川勝章さんから聞いた「石」のお話。石の配置によって人の動線が変わり、庭の見え方も変わるのだと情熱たっぷりに語ってくださいました。誰かが手をかけたものには必ず理由がある。見慣れた風景を見直すようになりました。今年の夏に、3年ぶりに開催された祇園祭のロケでも、催しの一つひとつに深い意味があり、その意味を次世代に渡そうとする方々の思いが凝縮したお祭りなのだと理解できました。ニュースで見聞きしてきた印象とは全く変わり、「知ること、伝えること」の重要性を実感しました。
真摯に伝統を守り、一心に技術を磨く姿には圧倒されます。一方で、後継者不足も深刻な問題ですね。例えば、西陣織の手機(織機の一種)に欠かせない道具、経糸と緯糸を通す「杼」もその作り手の後継者が不在なのだそうです。存続の危機を打開しようと、3Dプリンターで再現に成功したと聞き、「伝統を守る革新」を目の当たりに。多くの方が知恵を寄せ合い守り抜かれる価値の重みを感じました。
ひとえに、出会いの恵みだと思います。その時々で私に必要な出会いに恵まれ、多くの方に導かれてきました。例えば、映画でお世話になった大林宣彦監督からは平和のために行動する姿勢を学び、そのご縁から平和をテーマにした朗読の活動につながりました。さらに、その事務局である桜隊平和祈念会が存続の危機にあると知り、私自身も勉強したかったので「朗読勉強会を開催して、その授業料を運営に回しませんか?」と提案して実現。ご縁の先のつながりが続くことがとても嬉しいです。
ややこしい(笑)。思いつきですぐ動くし、すぐに気が変わるしで忙しい性格です。周りの人にはご迷惑をおかけしていると思います。でもだからこそ、たくさんの人と動物的勘でおつき合いできる良さもあるのかもしれませんね。
「塗香」です。香りが好きで、気持ちが沈んでいるときやしんどい思いをしたときに、手首などに少々つけるだけで前向きな気持ちに。
「そのままでいいよ」と言いたいですね。「将来はきっと楽しくなるから、安心してよし」と。
今のまま、思いつきでいきなはれ(笑)。出会いを大切につなげて、充実した日々を重ねます。