ここからしか見えない京都
  
美しい白馬「神山号」がたたずむ上賀茂神社。生きている馬が境内にいる神社はいまでは数少なくなった

馬と共に生きた京都の人々

神社の境内で、白馬の像を目にしたことがある人は多いのではないだろうか。白馬は「神馬(しんめ)」と呼ばれ、古くから邪気を払い、幸福を呼ぶといわれ神聖化されてきた。京都では馬に関わる神事が多く残されている。

北区にある賀茂別雷(かもわけいかづち)神社、通称・上賀茂神社は御祭神の賀茂別雷神の神託により、馬に鈴をかけて走らせ神を迎えたことから、日本の乗馬発祥の地とされている。境内に建つ神馬舎には、日曜、祝日と大きな祭りの日に神馬「神山号(こうやまごう)」が出社する。「神山号」は、かつてJRAのレースで2勝を挙げたマンインザムーン。母は桜花賞馬のダンスインザムードという良血馬だ。ふだんは京都産業大学の馬術部部員たちが世話をし、大学内の厩舎で暮らしている。毎年5月5日には2頭の馬が駆け比べをする「賀茂競馬(くらべうま)」、毎年10月の第3日曜日には日本古来の弓馬術「笠懸」を奉納する「笠懸神事」が催される。

全速力で駆ける馬上から弓を放つ笠懸神事。その瞬間は迫力と緊張感に満ち、多くの参拝客を魅了する

伏見区にある藤森(ふじのもり)神社は勝運と馬の神様として、競馬関係者、競馬ファンの参拝者が多いことで知られる。毎年5月1日から5日に行われる藤森祭は「端午の節句」発祥ともいわれ、メーンイベントの「駈馬(かけうま)神事」は1200年前から伝わる伝統行事で、藤森神社駈馬保存会によって人馬一体の妙技が披露される。また境内には奉納された古い武具など100点を展示する宝物殿や、日本の馬の郷土玩具や世界各国の馬のミニチュアなどを展示する馬の博物館がある。

藤森神社の駈馬神事。疾走する馬の上で、さまざまな技を披露する

そして馬といえば京都競馬場だ。1925年に開設された京都競馬場が4年かけてリニューアルし、2023年4月に新装オープンした。開設100周年を控えた新たな京都競馬場の愛称は「センテニアル・パーク京都競馬場」。14頭の馬像が並ぶ「三冠馬メモリアルロード」や、「宝塚記念」でレース中に骨折し、死去した「ライスシャワー」の碑など、競馬ファンならずとも楽しめるスポットだ。

京都競馬場の三冠馬メモリアルロード。三冠馬とは「皐月賞」「日本ダービー」「菊花賞」のすべてを制した馬のことを指す

制作著作:KBS京都 / BS11

【放送時間】
京都浪漫 悠久の物語
「京都を駈けた神馬や名馬たち~上賀茂神社・藤森神社・京都競馬場~」
2023年10月16日(月) よる8時~8時53分
BS11(イレブン)にて放送

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