ここからしか見えない京都
  

秋の南禅寺・永観堂エリアの魅力に迫る 後編

国内外問わず訪れる人を魅了する南禅寺・永観堂エリア。前編では珠玉の紅葉名所の数々をお届けしましたが、後編では、“水”に注目しながらこのエリアの更なる魅力をお届けしたいと思います。

南禅寺水路閣

明治維新の東京遷都(てんと)により、人口流出や産業の衰退など、京都はかつての輝きを徐々に失いつつありました。その打開策として計画され実現したのが、琵琶湖の水を京都に引き入れるという“琵琶湖疏水”プロジェクト。水道水の供給口となっただけでなく、日本最初の事業用水力発電や、市電開業のきっかけになるなど、京都の復興に大きな成果をもたらすことになりました。

無鄰菴

さて、南禅寺から歩いて10分ほどの場所に、東山の山並みを借景とした、開放的なお庭を配した無鄰菴(むりんあん)があります。「明治の元勲」といわれた山縣有朋(やまがたありとも)の別荘で、庭は山縣の意向を強く取り入れながら七代目小川治兵衛により作庭されました。

無鄰菴

雄大な自然風景を凝縮したかのようなこのお庭に流れがありますが、実はこの水は、琵琶湖疏水から取水されたもの。琵琶湖疏水は京都の復興の一助となっただけではなく、今もこの界隈で目にすることができる、水を伴う景観作りに役立てられることになったのです。

岡崎疏水

春の紅しだれ桜で知られる平安神宮神苑や、京都市京セラ美術館、京都市動物園の南を流れる、いわゆる“岡崎疏水”も、琵琶湖疏水により引き込まれた水が作り出す光景。賑わいを生み出す観光資源の形成にも、琵琶湖疏水は大きな役割を果たすこととなりました。

南禅寺順正

南禅寺・永観堂エリアに紅葉狩りに訪れたなら、ぜひ味わいたい京都グルメの名店が店を構えます。南禅寺順正は、1962(昭和37)年創業の湯豆腐料理店。秋冬の京都の定番グルメである湯豆腐を、本格的なコース料理のみならず、お手軽にランチ形式でもいただくことができ、多くの利用者で賑わいます。
ちなみに、お料理とともに、訪れる人を楽しませるこちらのお庭もまた、琵琶湖疏水から水が引き入れているそう。

一般的な豆腐の水分含有量は80~90%であるそう

京都盆地の地下には、琵琶湖の水量に匹敵するほどの“水瓶”があると言われます。豊富で良質な水により、京都では豆腐作りが盛んに行われるようになりましたが、禅寺の精進料理の一品としても豆腐は非常に重宝されることに。南禅寺界隈もまた豊富な水に恵まれ、豆腐店が軒を連ねることになりました。秋の南禅寺・永観堂エリアを訪れたなら、紅葉を愛でつつ、“水の恵み”に舌鼓を打ってみてはどうでしょうか。

あなたのご自宅が、“京都の特等席”に!
BS11では、来たる11月29日(水)に、秋色に染まる京都より生放送をお届け。東本願寺、東福寺光明院、東福寺勝林寺からは、紅葉に彩られたお庭の風景を。また京都の風土・歴史に育まれた食材を用いた創作料理や、オリジナルスイーツなどをご紹介します!

【放送日時】
京都紅葉生中継2023~秋を彩る食物語~
11月29日(水)よる7時00分~8時53分
BS11(イレブン)にて放送

【ゲスト】常盤貴子(俳優・京都府文化観光大使)、蜷川べに(和楽器バンド 津軽三味線)
【司会】遠藤奈美(KBS京都アナウンサー)
【解説】井上章一(国際日本文化研究センター所長)

制作著作:KBS京都 / BS11

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