ここからしか見えない京都
  

魅惑の京都一本桜を巡る 前編

3月も後半にさしかかり、本格的な桜の季節まであとわずか。「今年のお花見は京都で」とお考えの方もいらっしゃることでしょう。たくさんの桜が爛漫と咲く風景にも心躍りますが、一本の桜が気高く堂々と咲き誇る光景には、どこか感動さえ覚えてしまいます。
京都にある一本桜の名所を「前編」と「後編」にわたってご紹介します。今年の桜旅の参考にしていただけると幸いです。

毘沙門堂 大きく枝を広げる“毘沙門しだれ”

自然豊かな山間の地に堂宇を並べる毘沙門堂。京都に多く残る、皇族・公家出身者 が住職を務めた「門跡寺院(もんぜきじいん)」の中でも青蓮院・三千院・曼殊院・妙法院とともに「京都五箇室門跡(きょうとごかしつもんぜき)」に列される 由緒ある天台宗寺院です。

春の主役となるのが、こちらの“毘沙門しだれ”。樹齢150年を超える古木で、特徴はその枝張りの長さ。約30メートルにも及ぶそうで、背後に佇む宸殿を覆うかのよう。境内から見上げるようにだけでなく、少し高さのある宸殿の軒から正面に眺めるのもおすすめです。

善峯寺 桂昌院お手植えのしだれ桜

西山エリアの山腹に壮大な伽藍を並べる善峯寺。約3万坪の境内地では、「白山桜あじさい苑」を中心に100本を超える桜が植わり、その種類も様々。1か月にわたり桜を楽しめる点が魅力です。

善峯寺の桜といえば、経堂横で花を咲かせるしだれ桜。堂々とした姿の中にも、たおやかな雰囲気を漂わせる銘木です。樹齢は300年をも超えるとされ、徳川5代将軍・綱吉の母、桂昌院が自ら植えたものと伝わります。
今夏より、経堂は1年がかりの改修工事に入り、足場や覆いが設けられるそう。予定通りであれば、しだれ桜と経堂との共演を目の当たりにできるのは、今年を見逃すと2年後に。気になる方は今春、ぜひ訪れてみてください。

退蔵院 モノトーンの庭を彩るしだれ桜

退蔵院は妙心寺の塔頭(たっちゅう)寺院の一つで、国宝「瓢鮎図(ひょうねんず)」を所蔵することでも知られます(原本は京都国立博物館に寄託)。
境内に整備された「余香苑(よこうえん)」は、世界的にも有名な足立美術館(島根県)の庭づくりを行った中根金作により、昭和に完成しました。

その余香苑の入口とも言える「陰陽の庭」で、門番のようにそびえ立つのがこちらの紅しだれ桜。あまりの美しさに、お庭の奥へ進むことを忘れてしまいそうです。
この桜の驚くべきところが、目に見えて、成長を遂げたということ。数年前には枝が地面につかないよう、支え木が設けられました。以前に見たことがあるという方も改めて訪れてみれば、また違った印象を抱くかもしれません。

今回は毘沙門堂、善峯寺、退蔵院の一本桜をご紹介しましたが、次回は「日中」だけでなく「夜」も楽しむことができる一本桜の名所を取り上げます!

春本番! 京都より夜桜をお届けします

BS11では、3月27日(水)よる7時00分より、世界遺産である東寺を中心に、数カ所から生中継で夜桜風景をお届け! 東寺を代表する一本桜「不二桜(ふじざくら)」の秘話や、弘法大師空海が生み出した密教空間「立体曼荼羅」など、東寺の魅力にとことん迫ります。どうぞお楽しみに。

この記事を書いた人
京都の特等席 編集部

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