ここからしか見えない京都
  

冬の風物詩、京都の極上鍋料理

伝統の水炊きと京都人好みのぼたん鍋

寒さが厳しくなるにつれ、恋しくなるのが鍋料理。今回は心も体も温まる鍋料理を求め、常盤貴子さんがとっておきの店を探訪します。

かつて花街としてにぎわった繁華街、木屋町通り。そこから一本細い路地に進み、一番奥にあるのが1915年創業の博多風水炊きの専門店「新三浦」です。実はここ、女優の故・森光子さんの生家なのだとか。傷が残る柱は、背比べをした幼い森さんの面影を伝えています。創業当初から変わらぬ味を守り続ける水炊きのスープは、3代目主人の白井敏夫さんが担当。井戸から汲み上げた柔らかな地下水に、朝じめのオスの若鶏のガラを加えて煮込み、しっかり煮詰めてうま味を凝縮させます。おいしい状態で食べてもらうために、鶏肉ははじめにスープで炊いておいたものを提供。程よく火が通ってほろほろになった鶏肉や、スープをたっぷり吸った湯葉やくずきりを、相性抜群の自家製ポン酢で味わいます。

スープを仕込む「新三浦」の白井さん。「お客様においしいスープを飲んでいただきたい」と、6~8時間かけてじっくりと根気よく煮詰めていく ©KBS京都/TOKYO MX/BS11
コラーゲンたっぷりの水炊きのスープ。常盤さんも疲れたなあと思うと、まずは「水炊きで栄養を」となるのだとか ©KBS京都/TOKYO MX/BS11

上京区の住宅街にある「畑かく」は、1918年創業の料亭。名物の「ぼたん鍋」は、京都市北部の山里・雲ケ畑(くもがはた)出身の初代が、故郷で食べられていたイノシシ肉の鍋を京都人の口に合うようにアレンジして提供したのが始まり。脂が十分にのった肉質のよい若いイノシシを、京都好みの上品な白味噌仕立てにした鍋。それに合うのは、特製の自家製ポン酢です。食べているうちに段々とポン酢から味噌の味が勝り、最後まで飽きずに食べられるのだとか。猟の期間が2月15日までのため、ぼたん鍋はストックのある3月中~下旬ごろまでの提供予定だそうです。

「ぼたん鍋」という名前をつけたのは「畑かく」が最初なのだとか。上品な白味噌を使うのが畑かく流 ©KBS京都/TOKYO MX/BS11

鍋の名脇役と文豪が愛したすっぽん料理

先にお邪魔した料理店でも、名脇役として鍋を引き立ててくれるポン酢。その専門店「京都堀尾」が2024年10月にオープンしました。割烹料理店「御所南 金八」を営む堀尾直司さんが店で好評の自家製ポン酢を作り、奥様の亜美さんが販売しています。

徳島県産の柑橘3種類の果汁に、北海道利尻産の極上昆布と国産高級鰹節、甘口の醤油を絶妙の配合でブレンドし、2日かけてゆっくりと鍋にかけます。柑橘の爽やかな酸味と、まろやかな甘さを引き出した特製ポン酢のできあがり。常盤さんは「御所南 金八」を訪れ、ポン酢本来のうまさがもっともよく分かる湯豆腐を堪能。また天然くえのお造りを大根おろしと和えたポン酢で、さらに牛肉のステーキをごまポン酢で味わい、ポン酢の幅広い楽しみ方を教わりました。

料理人の堀尾直司さんが丹精込めて作った「京都堀尾」の自家製ポン酢。徳島県で採れる希少な柑橘「ゆこう」を使用しているのが特徴 ©KBS京都/TOKYO MX/BS11

上京区六番町には、志賀直哉、芥川龍之介などの文豪が通ったすっぽん料理専門店「大市(だいいち)」があります。すっぽんは、かつて京都南部の巨椋(おぐら)池で獲れた天然ものでしたが、現在は浜名湖で特別に養殖された3年ものを使用。自然に近い環境で育てたすっぽんの中から、さらに極上のものを厳選しています。名物の「〇鍋(まるなべ)」は、すっぽんのうま味を存分に堪能してもらうために余計なものは入れず、味付けは酒にしょうゆ、生姜のみ。信楽焼の専用の土鍋を使い、火力の高いコークスという燃料で一気に炊き上げます。すっぽんは表、裏、筋肉質、脂質、部位ごとに全部味が違い、さばき方は一子相伝。スープとお酒を足したスープ酒や締めの特製雑炊を味わい、常盤さんもすっぽんのうま味とコラーゲンを存分に満喫しました。

部位ごとにさばいているので、肉質や食感の違いを楽しみながら、すっぽんを余すことなく堪能できる「大市」の〇鍋 ©KBS京都/TOKYO MX/BS11
〇鍋の締めは、すっぽんのうま味がたっぷり溶け出したスープにごはんを投入。スープを吸ったアツアツのごはんの上に、卵黄をのせれば特製雑炊のできあがりだ ©KBS京都/TOKYO MX/BS11

【次回放送情報】
■京都画報 第40回「冬のごちそう!京の鍋 -水炊き×ぼたん×すっぽん-」
BS11にて1月8日(水)よる8時00分~8時53分放送
出演:常盤貴子

※ 放送後、BS11+にて1月12日(日)正午~ 2週間限定で見逃し配信いたします。

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