京都の節分は年越しと並ぶ大きな行事で、神社仏閣ではさまざまな厄除けの儀式が行われる。なかでも4つの社寺を巡る「四方(よも)参り」が有名だ。左京区の吉田神社を起点に、時計まわりで東山区の八坂神社、中京区の壬生寺(みぶでら)、上京区の北野天満宮の4つを巡るとご利益があるというもの。
節分といえば豆まきだが、これは平安時代の宮中で行われた大晦日の「追儺(ついな)式」という行事を起源としている。この追儺式を現代に受け継いでいるのが吉田神社だ。2025年の節分は2月2日になり、2月1日から3日間にわたって「節分祭」が執り行われる。例年約50万人が訪れ、1日、2日は約800の露店が立ち並ぶ。1日には「節分前日祭」、「疫神祭」、「鬼やらい」と呼ばれる追儺式が行われる。「鬼やらい」では「四つ目の仮面」を被(かぶ)り、矛と盾を持った方相(ほうそう)氏が、鬼である悪神を境内の外に追いやるという儀式だ。また節分当日は、古い神札やお守を焼き納める火炉祭が行われる。
2番目に参拝する八坂神社は、京都の夏の一大行事、祇園祭が行われる神社。全国にある八坂神社や素戔嗚尊(すさのおのみこと)を祭神とする、およそ2300社の神社の総本社になる。1日、2日の両日に催される「節分祭」は、4花街(かがい)の芸舞妓による舞踊奉納や豆まきが行われる。花街の人々から崇敬を集める神社だけに、節分行事は華やかそのもの。
3番目に巡る壬生寺は、新選組が兵法の訓練を行った地で、境内東方の池の中の島は、壬生塚と呼ばれ、新選組隊士が眠る墓がある。また鎌倉時代、円覚(えんがく)上人が創始した、セリフのない宗教劇「壬生狂言」で知られ、「節分会」では境内にある大念佛堂で演目「節分」が上演される。聖護院(しょうごいん)の山伏たちが境内を練った後、本堂前で大護摩祈祷を行い、奉納された護摩木を焚いて厄除け開運を祈願する。
最後に参拝する北野天満宮は、菅原道真を祭神として祀る全国およそ1万2000社の天満宮、天神社の総本社。節分当日は本殿で、神様に食べ物や大豆をお供えする式典を行い、午後からは神楽殿で茂山千五郎社中による「北野追儺狂言」が催される。さらに花街・上七軒(かみしちけん)の芸舞妓による日本舞踊の奉納があり、その後、豆まきが盛大に行われる。境内には約50種、およそ1500本の梅の木があり、約2万坪の境内には紅白の花が咲き誇る。早ければ正月明けから開花する木もあり、節分祭で可憐な花を楽しむことができるかもしれない。
製作著作:KBS京都 / BS11
【放送時間】
京都浪漫 悠久の物語
「節分の四方参り」
2025年1月20日(月) よる8時~8時53分
BS11(イレブン)にて放送