ここからしか見えない京都
  

二十四回目「若冲を巡る京都旅。」

7月19日に放送した『京都画報』の特集は伊藤若冲でしたね。
私も大変興味深く番組を拝見しました。
(※放送後、BS11+にて7月19日(水)夜9時~ 2週間限定で見逃し配信しているようです)

そう、私も若冲に心を奪われている者の1人。
若冲の素晴らしさは、多くの人が語っているように、細密な筆さばき、生き生きとした構図など、語り出すとキリがないでしょう。
著作『京都寺町三条のホームズ』の中でも若冲について書かせていただいてます。

今回は京都ホームズ⑱巻から主人公・真城葵と、ホームズこと家頭清貴の作中の台詞を抜粋&編集をして、若冲についてを語り、そして若冲を巡る旅の提案をさせていたただきます。

*   *   *

葵「若冲は『枡屋』っていう青物問屋さんの出身だったんですよね?」
清貴「そうです。ちなみに葵さん、伊藤若冲の縁の寺というと、どこを思い浮かべますか?」
葵「ええと、今出川にある同志社大学近くの……相国寺ですか?」
清貴「そうです。当時の相国寺の住持(住職)、大典禅師(梅荘顕常)が、若冲の才能を見出したと言われています。若冲もまた大典禅師を師と仰ぎ、慕っていたようで相国寺にたくさんの作品を寄進しました。そして実はこの近所にも、若冲縁の寺があるんですよ」
葵「えっ、知らなかったです。どこですか?」
清貴「裏寺町通の『宝蔵寺』です。そこは若冲の生家、伊藤家の菩提寺なんです」

裏寺町通――名前だけ聞くと寺町通の裏側のように感じてしまうけれど、実際は河原町通と新京極通の間にある縦(南北)の通り。距離は短いけれど、小さな寺が並んでいるのが印象的な通りです。

本堂の傍らに『伊藤若冲親族の御墓』という立派な墓石があります。

また、こちらは御朱印帳と御朱印が人気。
寺務所に入ると、御守やお札とともに若冲の絵柄、『竹に雄鶏図』、『髑髏図』、『鯉図』――などを表紙にした御朱印帳が並んでいます。

※ 2月8日は若冲の誕生日だそうで、この日にご朱印を受けてきました。

清貴「宝蔵寺のこのお墓は、伊藤家の墓ですが、若冲の遺骨はありません。ただ、若冲の遺髪は埋葬されているとか。若冲自身の墓は『石峰寺』にあるんですよ」

――ということで、『石峰寺』へ。
石峰寺の場所は、伏見深草。
門に着くまでに、結構な階段を上ります。

清貴「『石峰寺』は、日本三禅宗のひとつである黄檗宗の寺院です。場所は深草で、伏見稲荷大社の近くの高台にあります。若冲は晩年、宗教の原質を求めて黄檗山に入り、そこで石峰寺の住職と出会ったことで、五百羅漢(ごひゃくらかん)の制作をしました」

仏教において、最高の悟りを開いた者を『阿羅漢(あらかん)』というそうです。
それが略されて『羅漢』となり、『五百羅漢』とは『五百人の悟りを開いた素晴らしい者たち』の意。位の高い僧たちの像を指し、厳密に五百体ではなくても、『五百羅漢』と呼ぶという。

清貴「石峰寺には本堂の裏山に今も若冲が制作した『五百羅漢』があるんですよ。かつては、千体以上あったそうですが、今は四百数十体だとか。生い茂った竹林の中にある石仏たちの姿はとても神秘的ですよ」

『伊藤若冲、最後の傑作が眠る地』ともいわれているそうです。
(撮影不可でしたので、写真はありません)

そんな石峰寺には、若冲のお墓があります。

(画像がブレていてすみません汗)

『若冲縁の地を巡る京都旅をしたい!』
という方は

① 相国寺
午前中にのんびり参拝。
そこからバスに乗って河原町三条まで南下。

画像素材:PIXTA

② 宝蔵寺
参拝して、若冲のご朱印帳&ご朱印を受けよう!
人気があるので、ちょっと待つかも?

画像素材:PIXTA

③ 錦市場
そろそろお腹がすいてきた頃合い。
錦市場で美味しいものを食べよう。
その後、京阪電車に乗って深草駅へ。

画像素材:PIXTA

④ 石峰寺
参拝して、若冲のお墓を参り、裏山の五百羅漢を拝もう。

葵「そうしたら、その頃にはもう夕方かもしれませんね」
清貴「伏見には美味しい居酒屋さんがたくさんあるので、京都の地酒を飲みながら、若冲に想いを馳せるのも良いかもしれませんね」

――ということで、今回は、
京都寺町三条のホームズの二人から若冲案内でした。
(ちなみに京都ホームズの新刊20巻は秋発売予定です!)

【新刊案内】
8月10日新刊発売
京都船岡山アストロロジー3(講談社文庫)

イラスト:おかざきおか先生

よろしくお願いいたします。

この記事を書いた人
望月麻衣
 
京都在住の道産子。もの書き。 『京都寺町三条のホームズ』(双葉社)『わが家は祇園(まち)の拝み屋さん』(KADOKAWA)『京洛の森のアリス』(文藝春秋)『太秦荘ダイアリー』(双葉社)など書籍発売中。  
 

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