竹内栖鳳(たけうちせいほう)という日本画家がいる。
写生をとても大切にし、重要文化財の『絵になる最初』でも知られる栖鳳。湿度を帯びて匂いをも感じる草木や動物たち、風景画の中に溶け込む人々の生活、自然や生活の中でとらえたいのちへのまなざしは、鋭くも優しく、筆の力は申し上げるまでもなく凄まじいのです。
本人にも絵にも求心力があり、京都画壇が誇るスターである栖鳳は、私ももちろん、尊敬する画家のひとりです。
近代日本美術史の中ではカリスマ的な存在で、日本画が好きな方であれば、おそらく知らない方はいないでしょう。
ただ、日本画というものが、多様な文化やエンターテインメントの中で少し影の薄い分野になってしまった現在、彼の名前を知らない方も当然いらっしゃると思いますし、本来は「日本画とは何か」からお話しするべきかもしれません。
例えば、Do you have a favorite painter? あなたの好きな画家は?
と聞かれてすぐに思いつかずに、何となく、モネやミレー、ピカソと答えるのだとしたら、ぜひ、日本画家の名前を挙げてみてほしいと思います。
さらには、「竹内栖鳳」と答えてみるのはいかがだろうか?と提案してみたい。
この際、生起の順番など関係ない。今、この瞬間、栖鳳の名前を知り、近い未来に、所縁深い京都の地で、彼の日本画に出会うことができたなら、
もう堂々と、本当に、
I do ! Seiho Takeuchi. と答えられると思うのです。
その理由を語り尽くそうと思うと、この1回のエッセイではとても足りないので、次回以降、ほんの少し踏み込んでご紹介できたらいいなと思います。
では、どこで栖鳳に出会えるかといいますと、たくさんの素晴らしいコレクションをもつ京都市京セラ美術館 (京都市美術館)です。その記念すべき開館90周年記念の大規模個展として、この度、数多の画家の中から選ばれたのが栖鳳。会期は12月3日(日)までとなっているので、ぜひ多くの方にご覧いただきたいと思います。
栖鳳の誕生日を4日後に控える11月18日(土)には、「わたしたちの好きな栖鳳」というタイトルでトークイベントにも出演させていただきます。会場でお声がけいただけましたら嬉しいです。
https://kyotocity-kyocera.museum/event/20231118
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京都市美術館開館90周年記念展 竹内栖鳳 破壊と創生のエネルギー
2023年10月7日(土)〜12月3日(日)
*月曜休館(祝日の場合は開館)
京都市京セラ美術館 本館 南回廊1階
https://kyotocity-kyocera.museum/exhibition/20231007-20231203
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今回は宣伝のようになってしまいましたが、私にとってこのエッセイは、いつも、純粋に愛を伝えたいだけの“花便り”です。花とは私にとっての本質、美のこと。愛のこと。
正真正銘のラブレターなのです。
これからも京都の花や美しいものを通して、“花の絵描き”よりお手紙を綴ります。
今後ともお付き合いのほどよろしくお願いいたします。