おひさまの色。陽だまりの色。さまざまな花の彩りの中でも、とりわけ、花の黄色に春の到来を感じる方は少なくないのではないでしょうか。田舎に育った私にとっては、それは、畑に咲く菜の花、野に咲くタンポポ、園庭のチューリップなどでしたが、中でも憧れだった黄色の花がミモザの花です。
急に食いしん坊な話になるのですが、子供のころ、母親が作ってくれるピカピカのゆでたまごを使ったミモザサラダが大好きで、日本の満開の桜のように、外国ではこんな風にふわふわのミモザという黄色の花が満開に咲くのだと聞き、うっとりと想像をふくらませていました。それからずいぶん経ち、大人になってからの初めてのヨーロッパ旅行の途中、偶然にも満開に咲き誇るミモザの木々に出会えた瞬間の感動は忘れられません。
近年、日本でも、ミモザは春の定番の切花としてお花屋さんに並ぶほど人気になり、いつの間にか珍しい花ではなくなったように感じます。都会でインテリアとしておしゃれに飾られているのもとても素敵なのですが、やはり、太陽の下で見る葉や花の色、しなやかに風に揺れる姿にミモザの花らしい本来のたくましさや美しさを感じます。
3月の青空の下、京都府立植物園にて、今年も満開のミモザの花を見ることができました。植物園の表札には「ギンヨウアカシア」とあり、ミモザというのは通称であって、こちらが正式な名称のようです。花の一つずつは小さく繊細なかたちであるのに、輝く黄色の色彩が集合していることで、とても力強い印象に見えます。少し下に垂れてゆらゆら揺れる枝を見上げると黄金の光のシャワーを浴びるような気持ちになり、なんだか元気が湧いてくるようです。
これまで、花ばかりを見ていて気付かなかったのですが、イメージよりもずっと幹が細かったのです。私の胴体よりも細いこの幹で枝を支え、天へ天へと枝葉を成長させながら、これほどの花を元気よく咲かせて私たちにまで元気を与えているのかと思うと、こちらからも何とか少しでもパワーをお返ししてあげられないだろうかと、「ありがとう、ありがとう」と、抱きしめたい気持ちでいっぱいになりました。健気な植物の姿からは、学ぶことがたくさんあるように感じます。
このミモザ(ギンヨウアカシア)の木は、京都府立植物園の正門からすぐ、滑り台などの遊具や、キノコのかたちの本棚がかわいいフリーライブラリーがある広場にあり、他にもたくさんの植物が元気よく遊ぶ子供たちを見守っていました。今年、京都府立植物園は開園100周年とのこと。学生時代、何度花の写生に来たか分かりません。アルバイトで保育園のお絵描きの先生をしていた時に、子供たちと写生遠足に来たこともあります。京都府立植物園には、他にも数えきれないほどたくさんの大好きな花やおすすめスポットがあるので、こちらでも改めてお便りできたらと思います。
定家亜由子展
花と夢-艶やかな光につつまれて-
[東京展]2024年5月1日(水)– 5月6日(月) 高島屋日本橋店
[京都展]2024年5月15日(水)– 5月20日(月) 高島屋京都店
[大阪展]2024年5月29日(水)– 6月3日(月) 高島屋大阪店
[横浜展]2024年6月1日(水)– 6月1日(月) 高島屋横浜店