2024年12月2日
遣隋使派遣や冠位十二階、十七条憲法の制定など、飛鳥時代に日本の政治の礎を築いた聖徳太子。当時の中央集権は奈良にあったが、信仰心に篤く、生涯、仏教の信仰、興隆に努めた太子ゆかりの地は京都にも存在している。
中京区の六角堂は聖徳太子が自らの念持仏(身辺に置いて礼拝するための仏像)を安置するために建立したと伝わる。
正式名称は紫雲山頂法寺。また、この寺は「いけばな発祥の地」としても知られている。念持仏を本尊にするため、太子は家臣の小野妹子に住職として寺を守るように命じた。妹子は池の傍らに坊舎を建て、朝に夕にと仏前に添えた。これが今日の華道家元、池坊の始まりだという。
紫式部の邸宅跡に建つ廬山寺では、太子ゆかりの仏像を安置する。廬山寺は比叡山延暦寺中興の祖、良源(元三大師)が創建した寺。良源はその業績や敏腕ぶりから中世以降、霊験者と崇拝され、疫病神の厄災から逃れられると民間信仰を集めた。コロナ禍の今も疫病除けの護符を求め、多くの参拝客が足を運ぶ。
下京区にある佛光寺の聖徳太子立像は鎌倉時代、中興の祖である了源作。太子16歳の姿といわれ、両耳付近の髪を美豆良に結い、袈裟と横被をまとう。きりりとした顔立ちは太子の聡明さをうかがわせる。
『日本書紀』によれば太子が亡くなったのは622年で、2021年は1400回忌にあたる。1000年以上の長きにわたり、日本人の心に刻まれた聖徳太子の歴史を、ここ京都でもかいま見るができる。
【放送時間】
京都浪漫 悠久の物語
「京都に残る聖徳太子ゆかりの地~六角堂・廬山寺・佛光寺~」
2021年9月20日(月) よる8時~8時53分
BS11(イレブン)にて放送