ここからしか見えない京都
  

夏を締めくくる“お地蔵さん”めぐり

地蔵菩薩信仰が盛んな京都では、お盆の行事の締めくくりとして「六地蔵めぐり」や「地蔵盆」が行われてきた。

六地蔵めぐりは、京都の旧街道口に安置された6体のお地蔵さんを巡拝する習わしで、800年以上続く伝統行事。毎年8月22日と23日に行われ、6カ寺で授与されたそれぞれ異なる6色の幡(はた)を家の入口に吊るすと、厄病退散、福徳招来のご利益があるいわれる。六地蔵の発祥となったのは伏見区にある大善寺だ。平安時代の官僚で歌人として知られる小野篁(おののたかむら)があの世で生身の地蔵菩薩に出会い、この世に戻った後に一本の桜から6体の地蔵を刻んだ。その1体が地蔵堂に安置されている地蔵菩薩立像だ。それから300年後、後白河天皇の勅命により、都に通じる主要街道の入り口に平清盛が5体を分祀したことから六地蔵めぐりが生まれたといわれる。ちなみに大善寺は奈良街道にあり、東海道には徳林庵、鞍馬街道には上善寺、西国街道には浄禅寺、丹波街道には地蔵寺、周山(しゅうざん)街道には源光寺がある。

大善寺の地蔵菩薩立像。最初は大善寺に6体の地蔵尊が安置されていたことから、この寺は現在も六地蔵の名で親しまれている

京都各所でお盆前後に行われる「六斎念仏(ろくさいねんぶつ)」は、鉦(かね)や太鼓などで囃(はや)し、念仏を唱えながら踊る民俗芸能。2022年、「風流踊(ふりゅうおどり)」の1つとしてユネスコ無形文化遺産に登録された。六地蔵めぐりの22日は、上善寺で奉納される。

六地蔵巡りができない子どもたちが主役となるのが地蔵盆だ。8月24日を中心に行われ、お菓子配りやゲームなどもあり、夏の終わりの楽しみの一つとなっている。地蔵盆とのゆかりが深いのが、新選組で知られる壬生寺(みぶでら)。境内には多くのお地蔵さんが祀られている。コロナ禍に存続の危機が叫ばれた地蔵盆。壬生寺では夏だけでなく、秋に「地蔵盆フェスティバル」を開催するなど、地蔵盆を未来につなぐ新しい試みを続けている。

新選組隊士たちの訓練場として使われていた壬生寺
壬生寺境内奥にある壬生塚には、新選組の近藤勇の胸像や遺髪塔が立つ

境内に石仏・石塔がびっしりと並ぶ、あだし野念佛寺では毎年8月に数千体の無縁仏にろうそくを灯し、供養する「千灯供養」が行われる。2023年は8月26日、27日の午後6時からよる8時30分まで。

地獄、餓鬼、畜生、修羅、人道、天道の六道を表わした、あだし野念佛寺の六面体地蔵。右回りに水を掛けながら参拝すると罪が洗い流されるという

制作著作:KBS京都 / BS11

【放送時間】
京都浪漫 悠久の物語
「六地蔵めぐりと地蔵盆~大善寺・上善寺・壬生寺・あだし野念佛寺~」
2023年8月14日(月) よる8時~8時53分
BS11(イレブン)にて放送

この記事を書いた人
旅行読売出版社 メディアプロモーション部
 
月刊「旅行読売」は1966年創刊の、日本で一番歴史がある旅行雑誌です。国内外に地域の魅力を発信して、交流人口を増やすことで、地域の発展に貢献することを目指しています。毎月28日発売。  
 

タグ一覧

#人気ワード