大阪府に隣接する八幡(やわた)市の男山山頂にあるのが、「やわたのはちまんさん」の愛称で親しまれる石清水(いわしみず)八幡宮だ。平安時代前期、僧侶・行教(ぎょうきょう)が大分県・宇佐神宮から勧請した神社で、織田信長による社殿修復、豊臣秀吉による廻廊再建、豊臣秀頼の社殿再建などを経て、現在の社殿は江戸時代に徳川家光が造営した。2016年(平成28年)には、本殿や摂社武内社本殿など10棟が国宝に指定された。
本殿のある山上まではケーブルカーも通っているが、男山の自然に触れながら歩く表参道もおすすめだ。ただし、二の鳥居から三の鳥居までは長い石段があるので、こちらは健脚向き。ケーブルカーを降りてすぐにある男山展望台からは、嵐山の渡月橋や京都タワーなど京都市内を一望にできる。正面に現れるのは極彩色の本殿。内部が拝観できる昇殿参拝(元日から2月3日までは休止※初穂料1000円)では、本殿を囲む垣根「瑞籬(みずがき)」に左甚五郎一派によるものといわれる見事な欄間彫刻を鑑賞することができる。
また裏参道を下っていくと石清水八幡宮の摂社、石清水社がある。井戸の水は日照りのときにも涸れず、厳冬にも凍らなかったことから霊水とされ、パワースポットとして参拝客に人気だ。さらに下ると「松花堂跡」の石碑が建つ。八幡宮の社僧、松花堂昭乗(しょうじょう)が最晩年を過ごした草庵の地で、その宿坊の書院は2キロほど先に移築され、現在、松花堂庭園内の泉坊書院として公開されている(特別公開日のみ)。
石清水八幡宮駅近くから男山を見上げると、その中腹に神應(じんのう)寺の伽藍が見える。八幡市でもっとも歴史が古く、紅葉の名所として知られる名刹だ。本堂西側の墓地には、その豪遊ぶりから幕府に取りつぶされた江戸時代の大坂の豪商・淀屋辰五郎や、「日本の飛行機の父」とも呼ばれる二宮忠八などが眠る。その忠八が1915年(大正4年)、航空安全と航空事業の発展を祈願し、私財を投じて創建したのが飛行神社だ。祭神は古代の空の神・饒速日命(にぎはやひのみこと)。境内の資料館には忠八自筆の飛行原理発見に関する資料や、忠八が集めた航空業界初期の歴史資料などを展示。寄贈された1000機のプラモデルは圧巻だ。
制作著作:KBS京都 / BS11
【放送時間】
京都浪漫 悠久の物語
「京都八幡の歴史秘話~石清水八幡宮・松花堂庭園・神應寺・飛行神社~」
2023年12月18日(月) よる8時~8時53分
BS11(イレブン)にて放送