ここからしか見えない京都
  

お西さんの国宝を知る

2023年に「親鸞聖人御誕生850年」「立教開宗800年」の節目を迎えた、浄土真宗本願寺派本山の西本願寺。正式名称は「龍谷山本願寺」。寺を身近に感じてもらおうと、毎日、お坊さんがガイドする無料の境内ツアー「お西さんを知ろう!」を開催している。1日4回、所要時間約30分(※雨天時も開催)。参加は自由で、希望者は開催時間までに境内の総合案内所(お茶所)に集合する。参加者には、「024カード」が配布される。「お西」(=024)になぞらえて全24種類。何度も通って集める人もいるのだとか。

西本願寺は京都屈指の文化財の宝庫で、国宝をはじめ歴史的建造物が並ぶ。伽藍の中心となるのが、2022年に約5年にわたる修復工事を終えた本堂の阿弥陀堂(国宝)だ。修復工事では内陣の金箔約14万枚を貼り直し、荘厳な輝きを取り戻した。その縁側や廊下を見ると……、節穴や亀裂部分が、植物や動物などをかたどった埋木(うめき)で補修されている。富士、鷹、ナスなど縁起のいいものもあり、大工達の遊び心をうかがうことができる。

江戸中期に再建された阿弥陀堂。修復によって内陣が輝きを取り戻した

阿弥陀堂と廊下でつながるのが、国宝の御影堂(ごえいどう)。東西48メートル、南北62メートル、高さ29メートルの巨大な建物で、一度に1,200人以上が参拝できる世界最大級の木造建築だ。中央には親鸞聖人の木像が安置されている。御影堂の南側に位置するのは開かずの門、唐門(国宝)だ。桃山時代を代表する建造物で、黒漆(くろうるし)の地に艶やかな極彩色の彫刻が施された豪華絢爛な造り。その美しさから日が暮れるのを忘れてしまうほど見入ってしまうため、別名「日暮らし門」とも呼ばれる。

参拝者が入る御影堂の外陣(げじん)は、およそ441畳の広さ
麒麟(きりん)や唐獅子など極彩色の彫刻が美しい唐門

御影堂からさらに奥には、多彩な障壁画が見学できる書院(通常非公開。1月を除く毎月16日「Shinran’s Day」に公開、定員40人)がある。門主(もんしゅ)との対面所に使われていた「鴻(こう)の間」は、欄間に“鴻の鳥”を透かし彫りでダイナミックに表現。門主が座る上段の後ろには巨大な障壁画、さらに巨松と花鳥を描いた「金碧松鶴図」など、さながら美術館のようだ。また、ほかにも廊下続きに小部屋がいくつかあり、見事なふすま絵や天井画を鑑賞することができる。

書院の「鴻の間」。門主が門信徒や客人と対面した絢爛豪華な大広間

境内の東南隅にある国宝の「飛雲閣」は通常非公開で、その姿を目にすることができるのは特別ツアーや特別公開のときだけ。金閣、銀閣とともに「京都三名閣」に数えられる楼閣建築で、機会があれば一目だけでも見ておきたい建築物だ。

制作著作:KBS京都 / BS11

【放送時間】
京都浪漫 悠久の物語
「西本願寺の国宝を巡る~唐門・阿弥陀堂・御影堂・書院・飛雲閣~」
2024年6月17日(月) よる8時~8時53分
BS11(イレブン)にて放送

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