ここからしか見えない京都
  
智積院の名勝庭園。ツツジが咲く春やサツキの初夏は、格別に美しい

夏に楽しむ京都の至宝

京都の夏を楽しんでもらおうと、毎年開催されている観光キャンペーン「京の夏の旅」。7月から9月まで、通常非公開の建築、仏像、庭園などの文化財が特別公開される貴重な機会だ。

今回の大きな見どころは、宸殿(しんでん)が特別公開される「智積院(ちしゃくいん)」。智積院は真言宗智山派の総本山で、もともとは和歌山県の根来山(ねごろやま)内にあった寺院の一つ。勢力が拡大したことによって豊臣秀吉に攻め込まれ、堂塔伽藍は灰燼(かいじん)に帰した。その後、徳川家康の命により、東山の豊国神社境内の坊舎と土地が与えられ再興、隣接していた秀吉の息子・鶴松の菩提寺、祥雲禅寺(しょううんぜんじ)が与えられ、さらに規模を拡大した。智積院の見どころの一つが、大書院(おおじょいん)から眺める「名勝庭園」だ。“千利休好みの庭”といわれ、祥雲禅寺時代に原形が造られ、智積院の第七世運敞僧正(うんしょうそうじょう)によって修復された。築山(つきやま)・泉水(せんすい)庭園の先駆けとなった貴重な史跡で、東山第一の庭園と呼ばれる。特別公開される宸殿は、京都画壇の巨匠、堂本印象(どうもといんしょう)が手掛けた襖絵が見もの。また2023年4月にリニューアルした宝物館では、桃山時代の代表的な絵師、長谷川等伯一門による国宝障壁画を常時公開している。

智積院の宝物館に収蔵される長谷川等伯の息子・久蔵の「桜図」

「京の夏の旅」で6年ぶりの公開となった大雲院(だいうんいん)は、織田信長・信忠父子の菩提を弔うため、1587年(天正15年)、正親町(おおぎまち)天皇の勅命により開創した。期間中は寺宝として伝わる、貴重な掛け軸を特別公開する。境内にそびえる「祇園閣」は、明治・大正の実業家・大倉喜八郎の別邸の一部で、祇園祭の山鉾を模したモダンな造り。内部は天井の十二支の装飾や階段部分の鬼を装飾した照明など、独特の意匠が施されている。高さ36メートルの3階建てで、最上階からは京都市街を360度見渡すことができる。こちらも期間中のみ特別公開される。

祇園閣は平安神宮や明治神宮などを手掛けた伊東忠太が設計した
壁一面に仏教絵画が描かれた祇園閣内部

制作著作:KBS京都 / BS11

【放送時間】
京都浪漫 悠久の物語
「夏の京都の朝さんぽ~智積院・円山公園から大雲院へ~」
2024年8月19日(月) よる8時~8時53分
BS11(イレブン)にて放送

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