ここからしか見えない京都
  

南山城の仏様に出会う

紅葉にはまだ早い、静かな初秋におすすめなのがお寺めぐりの旅だ。京都府南部の南山城地域は、木津川が流れる風光明媚な地。周辺には国宝や重要文化財指定の仏像を有する名刹が多く点在する。

その中心をなすのが木津川市にある平安時代創建の浄瑠璃(じょうるり)寺だ。境内は「宝池(ほうち)」と呼ばれる池を挟み、西に本堂の阿弥陀堂(国宝)、東に三重塔(国宝)が建つ。参拝は三重塔から本堂へ向かうのが正式な順路だ。三重塔内部には創建時の本尊・薬師如来坐像(重文)を安置する。額にある大きな白毫(びゃくごう)、切れ長の目、ふっくらとした唇で、穏やかでありながら威厳に満ちた表情をしている。本堂に安置された本尊の九体(くたい)阿弥陀如来坐像(国宝)は高さ2メートルを超える中尊(ちゅうそん)の両脇に、阿弥陀如来坐像が4体ずつ並ぶ。2018年から、およそ100年ぶりに修理が行われ、その後も奈良国立博物館や東京国立博物館での展示されていたことから、9体すべてが並んだのは5年半ぶりだという。それぞれ表情が異なるので、自分好みの阿弥陀像を探してみるのもいい。

浄瑠璃寺の九体阿弥陀如来坐像は、制作した仏師がすべて違うという

同じ木津川市には平安時代、修験道の聖地とされた神童(じんどう)寺がある。本堂とその中央に安置されている本尊・蔵王権現像は室町時代に再建されたもの。目を見ひらき、髪を逆立てたて憤怒した表情は、見る者を圧倒する。さらに本堂裏の収納庫には、阿弥陀如来像や不動明王像、愛染明王像など、重要文化財に指定された6体の仏像を安置している。

神童寺の蔵王権現像。見る者を圧倒するほどの大迫力

京田辺市にある壽寳(じゅほう)寺の観音堂に安置された本尊・十一面千手千眼観世音菩薩立像は、平安時代後期に彫られた檜材の一木造(いちぼくづく)り。通常42本の手をもって“千手”と呼ぶことが多いが、この寺の千手観音立像は実際に千本の手を持つ仏像として知られる。拝観は要予約。

実際に千本の手を持つ壽寳寺の十一面千手千眼観世音菩薩立像

宇治茶の名産地、宇治田原町にある禅定(ぜんじょう)寺の宝物殿には、藤原時代作の貴重な10体の仏像が安置されている。中央に配置された本尊の十一面観世音菩薩立像(重要文化財)は高さ約268センチメートルあり、全国屈指の大きさを誇る。本堂は全国でも珍しい茅葺き屋根で、ずっしりとした重厚感が漂う。

禅定寺の本堂。茅葺き屋根は、4年をかけて2006年に修復された

制作著作:KBS京都 / BS11

【放送時間】
京都浪漫 悠久の物語
「仏師と巡る『仏像の聖地』南山城」
2024年9月16日(月・祝) よる8時~8時53分
BS11(イレブン)にて放送

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