ここからしか見えない京都
  
ライトアップされた金堂。中国と日本の様式を取り入れた桃山時代を代表する建築

幻想的な秋の東寺を愉しむ

平安京遷都の2年後の796年、国家鎮護のために創建された世界遺産・東寺。正式名称は「教王護国寺」と呼び、1200年以上の歴史を紡ぐ平安京の遺構だ。嵯峨天皇が即位すると東寺は弘法大師空海に下賜され、日本で初めての密教寺院となった。現在、東寺では「紅葉ライトアップと金堂・講堂夜間特別拝観」(12月8日まで)を実施している。灯りに照らし出された紅葉と合わせ、昼とはまた違った夜の幻想的な拝観を体験してみてはいかがだろう。

本堂にあたる金堂は桃山時代に再建されたもので、本尊はあらゆる病から人々を守ってくれるという薬師如来と、脇侍に日光・月光菩薩を安置。本尊の台座には、薬師如来を守るように勇ましい十二神将像がぐるりと配され、1体1体の緻密な彫刻は見ものだ。

本尊の薬師如来は、光背に7体の仏様を配する七仏(しつぶつ)薬師如来

造営にあたり空海が、最も力を注いだといわれるのが講堂。境内のちょうど真ん中に位置し、堂内には21尊の仏像が安置されている。中央に鎮座するのは密教の本尊・大日如来だ。そのまわりを4尊の如来が囲む五智(ごち)如来、右側には五大菩薩、左側には五大明王、さらに須弥壇のまわりに四天王、梵天、帝釈天を安置し、密教の教えを視覚的に表した「羯磨曼荼羅(かつままんだら)」、いわゆる「立体曼荼羅」だ。21尊のうち、16尊が国宝に指定されている貴重な仏像の数々。夜間特別拝観の期間中には仏像の背面にまわることができ、大日如来の光背(こうはい)の裏側に施された緻密な意匠を鑑賞することができる。

境内の中央に位置する講堂は、密教の中心的存在を意味する
仏像を立体的に配置し、密教の教えを伝える立体曼荼羅

同時期に実施しているのが、国宝・五重塔の「初層の特別拝観」。こちらは夜間ではなく、8時から17時までの拝観(受付は16時30分まで)だが、通常非公開なので貴重な機会だ。木造の建造物としては日本一を誇るという高さ約55メートルの五重塔は、江戸幕府第三代将軍・徳川家光によって再建されたものだ。観覧できる初層内部は大日如来に見立てた心柱(しんばしら)を囲うように、4尊の如来、8尊の菩薩を安置。極彩色の文様で彩られた空間は、荘厳な雰囲気が一面に漂う。東寺の紅葉の見頃は例年11月下旬から12月上旬だ。

紅葉時期には瓢箪池に五重塔が映し出され、絵葉書を見るかのように美しい

制作著作:KBS京都 / BS11

【放送時間】
京都浪漫 悠久の物語
「美しき秋の東寺美しき東寺〜紅葉ライトアップと特別拝観〜」
2024年11月18日(月) よる8時~8時53分
BS11(イレブン)にて放送

この記事を書いた人
旅行読売出版社 メディアプロモーション部
 
月刊「旅行読売」は1966年創刊の、日本で一番歴史がある旅行雑誌です。国内外に地域の魅力を発信して、交流人口を増やすことで、地域の発展に貢献することを目指しています。毎月28日発売。  
 

タグ一覧

#人気ワード