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四君子蒔絵椀

京都 板前割烹の元祖「浜作」 白味噌仕立て鶉豆腐のお椀のレシピ

京都に生まれ育った私にとりまして、白味噌の「おつゆ」と申しますものは、何かしら特別な愛着を感じるものであります。
最初のひと口をすする時こそ、京都人としてのそのアイデンティティを改めて認識する瞬間でございます。
単純に出汁にお味噌を溶くだけの味付けですが、「まったり」としたその複雑な味わいは無類の深みがございます。
絶対に沸騰させてはいけないのが鉄則でございます。

白味噌仕立て鶉豆腐のお椀

材料

鶉豆腐
 鶉……1羽
 木綿豆腐……1丁(約300g)
 卵白……1個分
 出汁溶き片栗粉……大さじ2位
 塩、しぼり生姜、みりん、薄口醬油
茹でたほうれん草……適量
焼椎茸、輪違い金時人参……各4個
出汁、白味噌、練り辛子

作り方

<鶉豆腐を作る>

  1. 木綿豆腐をさらしで包み、まな板にはさんで重しをする。勾配をつけて2時間程置き、裏ごす。
    「勾配をつけておくと、水気がきれやすく、また、そのしみ出た水気をもう一度吸うことがなくなります」。
  2. 鶉の身は骨をはずして上身にし、出刃包丁で細かく刻み、更に叩いてミンチ状にする。
  3. 当たり鉢に2の鶉肉を入れ、すりつぶす。塩小さじ⅕、しぼり生姜小さじ½強を加えてよく当たる。つなぎに卵白半量を加え、更によく当たる。1の豆腐、残りの卵白、みりん小さじ1、薄口醬油小さじ½、出汁溶き片栗粉を加えてよく混ぜ合わせる。丸型(セル)に流し入れ、蒸し器で12分程蒸す。

<添えものを作る>

  1. 細めの金時人参は、皮を桂むきし、厚さ3㎜の輪切りにし、型抜き器で中心を打ち抜く。塩水で湯がき、色が鮮やかになったら、氷水に取る。2つ一組で、一方に切り目を入れて、もう一方の輪に通す。
  2. 椎茸は塩水に20分ほど浸け、オーブントースターで焼く。

<吸地を作る>

  1. 常温の出汁カップ2½に、徐々に温度を上げながら白味噌120〜130gを味噌溶きを使って溶く。
    「この時のお加減は他に味噌以外何も加えないという意気込みで、濃すぎないよう慎重にすすめて下さい。沸騰させてしまうとお味噌の色も味も変わり、台なしになるので、くれぐれも徐々に温度を上げて下さい。お味噌汁単独で召し上がる場合はあまり濃くせず、ご飯と一緒に出される場合は少し濃くお加減します」。
  2. 沸騰しかけたら一旦火を止め、一呼吸おいて味見する。良ければ水囊で2度漉す。
    「漉すことによって舌ざわりが滑らかになり、お味噌が喉にひっかかるということもなくなりますので、必ず漉して下さい」。

<盛り付け>

  1. 鶉豆腐の高さを調え、お椀の中央より少し向こうよりに盛り付ける。茹でたほうれん草、焼椎茸、輪違い金時人参をあしらい、味噌汁を注ぎ、練り辛子を天盛りする。

*この記事の内容は、京都を代表する名店「浜作」の名物料理、逸品のレシピを惜しげもなく収載した書籍『愛蔵版 和食の教科書 ぎをん献立帖』(著者:森川裕之)に掲載されています。

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