ここからしか見えない京都
  
江戸時代後期築のものが現存するという舟屋。波が穏やかで干満差が少ない伊根湾は、江戸時代には国内屈指のブリの漁場として知られた ©KBS京都/TOKYO MX/BS11

美味と絶景を「海の京都」で発見

「舟屋の宿」で伊根湾を堪能

京都市内から車を北に走らせると2時間ほどで到着するのが、4つの市町で構成される丹後地域。日本海に面するこのエリアは、“海の京都”と呼ばれています。はるか昔、この地域は日本海を通じて大陸からの文化や技術を受け入れる日本の表玄関として栄え、一大文化圏が築かれました。

常盤貴子さんが最初に訪れたのは、丹後半島の東側にある伊根町です。波穏やかな伊根湾を取り囲むように軒を連ねているのは、舟を格納するために作った舟屋です。現在は約230軒あり、平成17年(2005)、全国の漁村で初めて、「伊根の舟屋群」として国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。舟屋はいわば舟のガレージ。通りを挟んだ山側に母屋を持つ一方、舟屋の2階は居室スペースになっているのが基本的な様式です。現在、伝統の街並みを守るための一つの手段として、舟屋を宿にリノベーションした「舟屋の宿」が20軒営業しています。その中の一軒、「海凪(みなぎ)」に案内していただくと……。元船着き場のリビングスペースや、2階の寝室からは伊根湾の眺望、清々しい風景が広がります。宿は基本、素泊まりのため、食事は近くの飲食店を利用します。この日は、2021年にオープンしたばかりの「鮨いちい」で、地酒や地魚の寿司を堪能しました。

「海凪」のリビング。目の前に伊根湾が広がり、まるで海に浮かんでいるかのようだ。宿泊は1棟貸し ©KBS京都/TOKYO MX/BS11
伊根の老舗旅館で約20年間料理長をつとめ、伊根の魚を知り尽くした市井八州司(やすし)さんが、2021年にオープンした「鮨いちい」 ©KBS京都/TOKYO MX/BS11

丹後グルメとワインのマリアージュに酔う

海の京都を象徴するのが、特別名勝・天橋立。宮津湾と阿蘇海を切り分けるように、海の中に伸びる白い砂浜と約6700本のクロマツの松並木。日本三景のひとつに数えられる天下の絶景です。東西南北にある山からの眺めは“天橋立四大観(よんだいかん)”と呼ばれ、北からは「昇龍観」、南からは「飛龍観」、東からは雪舟の『天橋立図』の構図に似た「雪舟観」、西からは漢数字の「一」に見える「一字観」。2020年にはこの四大観に続く、5番目のビュースポット「天平観」が加わりました。真正面に天橋立を端から端まで見渡すことができます。

この天橋立を参道にした元伊勢(この)神社は、丹後随一の社格と由緒を有する丹後一宮。伊勢神宮の外宮(げくう)に祀られる豊受(とようけ)大神(おおかみ)は元々、奥宮の眞名井(まない)神社に祀られていました。その縁で天照(あまてらす)大神(おおかみ)が一時期この地に遷り、豊受大神と一緒に過ごしたことから、伊勢神社の元という意味で「元伊勢」と名付けられました。神門前に鎮座する「魔除狛犬」は狛犬の名品とされ、国の重要文化財に指定されています。

元伊勢籠神社の拝殿。本殿は伊勢神宮の内宮正殿と同じ唯一神明造で、現在の建物は江戸末期に建てられたものだという ©KBS京都/TOKYO MX/BS11

今宵の常盤さんの宿は天橋立の南側、文殊地区にある温泉宿「ワインとお宿 千歳」。当主は、天橋立を一望にする地でワイナリーのオーナーでもあり、ディナーには自慢のワインが登場します。フレンチのエッセンスを盛り込んだ和食のマリアージュに酔いしれ、まさに至福のひとときへ。

「ワインとお宿 千歳」のこの日のディナーのスペシャリテは間人(たいざ)ガニ。おすすめの天橋立ワイン「こだま樽熟成 白」と共に味わいながら、常盤さんは至福のひととき ©KBS京都/TOKYO MX/BS11

【次回放送情報】
■京都画報 第17回「海の京都 美食と絶景・海の京都」
BS11にて2月8日(水)よる8時00分~8時54分放送

※ 放送後、BS11+にて2月12日(日)よる9時~ 2週間限定で見逃し配信いたします。

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