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©KBS京都/TOKYO MX/BS11

祇園祭の神髄、神輿渡御の熱気に触れる

重要な神事を担う「宮本組」

祇園祭は7月1日から31日までの1カ月間、さまざまな神事が行われる八坂神社の祭礼です。豪華絢爛な山鉾巡行が広く知られていますが、その神髄は神輿にあるといわれています。山鉾巡行は神輿の通る道を清める、いわば「露払い」。山鉾の巡行が終わった後、3基の神輿が、氏子地域を練り歩き、疫病や災いを鎮めるのです。神輿に奉仕する氏子組織の中でも、特に重要な役割を担うのが宮本組。八坂神社のお膝元・祇園町の氏子による組織で、明治以前から祭に奉仕してきました。神輿と宮本組を通し、常盤貴子さんが祇園祭の本質と魅力に迫ります。

氏子区域には「清々講社(せいせいこうしゃ)」と呼ばれる氏子組織があり、氏子の取りまとめや祭礼の奉仕を行っています。神輿渡御ではご神宝(しんぽう)を奉持(ほうじ)して行列を先導するほか、神輿洗いなど祭の重要な神事を担当しています。

常盤さんが最初に訪れたのは、二条城近くにある神泉苑(しんせんえん)。貞観11年(869年)、全国ではやっていた疫病を鎮めるため、当時の国の数である66本の矛(ほこ)を立て、祇園社(八坂神社)から神泉苑へ神輿を送り、厄払いしたことが祇園祭の始まりといわれています。24日の還幸祭(かんこうさい)では、3基ある神輿のうち「中御座神輿」が神泉苑に拝礼します。

神泉苑は祇園祭のはじまりといわれる「祇園御霊会(ごりょうえ)」が行われた場所。御霊会を行うことで、怨霊を鎮め災厄から逃れようとしたという ©KBS京都/TOKYO MX/BS11

祭の原点「水の信仰」で都を清める

八坂神社には本殿下に青龍が棲むと伝わる「龍穴(りゅうけつ)」があり、地下の水脈で神泉苑と繋がっているといわれています。祇園祭は「水の信仰」と深い関わりがある祭。2022年からは八坂神社、神泉苑がそれぞれに湧く「御神水」を交換し、水を浄化して疫病を鎮める儀式が行われています。また、コロナ禍で中断されていた山鉾巡行では、復活後から山鉾が辻回しをする交差点を八坂神社の霊水で清める「青龍神水お清めの儀」も始まりました。

それぞれの神輿に輿丁(よちょう)と呼ばれる担ぎ手がおり、一基に数百人、総勢で2000人の輿丁が担ぐ ©KBS京都/TOKYO MX/BS11

祇園祭の最中、常盤さんが訪れたのが南楼門前にある「中村楼」。480年続く老舗料亭です。中村楼では毎年7月13日に八坂神社へ稚児餅を奉納するのが習わし。同じ日に行われる「社参の儀」を終えた長刀鉾のお稚児さんにも、稚児餅を振る舞います。こちらで季節折々の食材を生かした懐石料理を堪能。厄除けの茅の輪をあしらった八寸や旬の鱧落としなど、美しく盛り付けられた一皿一皿に老舗料亭の美意識が感じられます。祭りの賑わいの中で楽しむ食事は、常盤さんにとって格別なひとときになったに違いありません。

中村楼の稚児餅。竹串で刺した餅の両面に白味噌を塗って、香ばしくあぶった菓子。7月14日から7月31日まで抹茶とともに味わうことができる ©KBS京都/TOKYO MX/BS11
鱧落としは湯引きのことで、中村楼では温かいまま出すため、皮が柔らかく、おいしく食べられるという ©KBS京都/TOKYO MX/BS11

7月17日の神幸祭(しんこうさい)で神輿渡御が始まると、宮本組の神宝捧持列が先頭を歩き、着輿した神輿は24日の還幸祭まで四条御旅所にとどまります。祇園には“無言詣り”という風習があり、7月17日から24日の間、八坂神社から御旅所までを7往復半、誰とも言葉を交わさずにお参りをすると願い事が叶うと伝えられています。

宮本組の重要な役目の一つが、ご神宝を捧げ持ち、三基の神輿を先導することだ ©KBS京都/TOKYO MX/BS11
四条通を行き交う人びとの姿を静かに見守る御旅所の三基の神輿。多くの人が無言参りで願掛けをする ©KBS京都/TOKYO MX/BS11

はじめて神輿渡御を見物した常盤さん、祇園祭の本来の姿である厳粛な雰囲気に触れ、祭の神髄を垣間見ることができたようです。

【次回放送情報】
■京都画報 第35回「神々を先導する男たち-2024祇園祭・宮本組の熱い夏-」
BS11にて8月14日(水)よる8時00分~8時55分放送
出演:常盤貴子

※ 放送後、BS11+にて8月14日(水)よる9時~ 2週間限定で見逃し配信いたします。

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