ここからしか見えない京都
  
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伝統から革新を生む京丹後の魅力

伝統の技を世界に発信

京都府の最北端に位置する京丹後市。知名度こそ高くありませんが、知る人ぞ知る多彩な魅力にあふれています。今回は「一般社団法人 Tangonian(たんごにあん)」の代表理事・長瀬啓二さんとともに、常盤貴子さんが京丹後市の知られざる魅力に迫ります。

(一社)Tangonian(たんごにあん)の代表理事を務める長瀬啓二さんが今回の案内人。京丹後市の暮らしや文化、伝統産業の魅力を世界に向けて精力的に発信する ©KBS京都/TOKYO MX/BS11

京丹後市は、丹後ちりめんの生まれ故郷。網野町浅茂川界隈は、丹後ちりめんの機屋(はたや)が集まる代表的な地区です。2人が訪れたのは、絹織物の染色を手掛ける「小林染工房(そめこうぼう)」。店主の小林知久佐(ともひさ)さんが一躍注目されるきっかけとなったのが「丹後ブルー」の染物です。透明度の高い丹後の海を連想させる、輝きを放つ色鮮やかな青。明治時代末から大正時代にかけて美しい青色の「新橋色(しんばしいろ)」が芸者衆の間で流行しましたが、色のあせやすさが難点でした。小林さんはその色あせの解消に挑み、試行錯誤の末、日焼けしにくい鮮明なブルーの染物作りに成功。丹後の海をイメージして「丹後ブルー」と名付けました。染め作業を見せていただいた帯揚げは、常盤さんへのプレゼントに。

丹後ちりめん特有の地紋を生かしながら、無地、ぼかし、グラデーションなど卓越した技術で染めあげる、小林染工房の丹後ブルーの染物に常盤さんも感動 ©KBS京都/TOKYO MX/BS11

京丹後市にはものづくりを志して、移住してきた若者たちがいます。「日本玄承社 日本刀鍛錬道場」は、著名な刀鍛冶のもとで修業をした黒本知輝さん、山副公輔さん、宮城朋幸さんが、“今を写した日本刀の製作”を志し、東京から京丹後市へ。この鍛冶場は2022年1月に完成し、火入れ式が行われました。現在、3人は現代の刀鍛冶として、日本刀の製作・販売に携わるほか、イベントでの実演など日本刀の普及活動にも力を入れています。常盤さんの前で、日本刀の正しい鑑賞の作法を披露する黒本さん。かつては戦の道具だった日本刀が、美術品として輝きを放ちます。

日本刀作りの伝統と技を伝え続ける日本玄承社の3人の鍛冶職人。新しい価値観で日本の次代を切り拓いていきたいと意気軒高だ ©KBS京都/TOKYO MX/BS11

日本玄承社のすぐ近くにある「民谷螺鈿(たみやらでん)」は、世界的に有名な織元の工房です。二代目の民谷共路(きょうじ)さんが継承する「螺鈿織(らでんおり)」は、父・勝一郎(しょういちろう)さんが考案した高級帯地です。螺鈿織の螺鈿とは貝殻を使った伝統工芸品のこと。勝一郎さんは貝殻で織物を作る研究に着手し、1979年に伝統的な螺鈿の技法と、織物の伝統技法を融合させた螺鈿織を完成させました。現在は、民谷螺鈿のテキスタイルが、世界的なハイブランドのコレクションに使用されるまでになりました。それだけにとどまらず、共路さんは螺鈿織の技術を応用して、木や革、漆など新しい素材と組み合わせた新製品作りにも取り組んでいます。

民谷螺鈿の工房で、作業工程を見学。引箔という伝統技法を応用し、和紙の模様に合わせて貝殻を貼り付けていく緻密な手作業 ©KBS京都/TOKYO MX/BS11
先代の「海のきらめきを織物にしたい」という願いによって完成した螺鈿織。美しい帯を目の前に、それを身にまとえる幸せをしみじみと感じる常盤さん ©KBS京都/TOKYO MX/BS11

豊かな自然から生まれる食の新風

丹後天橋立大江山国定公園に属する豊かな森に、今年4月にオープンしたのが「京丹後舞輪源(まいりんげん)蒸留所」です。大学の同級生だったプロジェクトリーダーのヨンテさんと蒸留家のシンザンさんの2人でクラフトジンを製造。ジンは、ベースとなるスピリッツ(穀物を原料とした蒸留酒)にジュニパーベリー(ヒノキ科の針葉樹ジュニパーの果実)などのボタニカルで香りづけをし、再蒸留します。クラフトジンは、ベースとなるスピリッツやボタニカルが自由なため、原料、製法、産地など作り手のこだわりが強く反映されるのが特徴。京丹後の森や海辺で収穫したジュニパーベリー2種と、この森周辺に自生する自然の花を蜜源とする非加熱の生ハチミツを使って作っているのが、限定品「MAIRINGEN EXTRA FRESH CRAFT GIN (マイリンゲン エクストラ フレッシュ クラフトジン)」です。現在はクラフトジンの製造・販売だけでなく、蒸留所周辺の自然豊かな環境を楽しんでもらおうと、完全予約制のカフェや蒸留体験、フレッシュクラフトジンの試飲なども行っています。

ヨーロッパ産と京丹後に自生するジュニパーベリーの違いを、常盤さんらに説明する京丹後舞輪源蒸留所のヨンテさんとシンザンさん ©KBS京都/TOKYO MX/BS11

京丹後舞輪源蒸留所と同じ弥栄町にある「魚菜料理 縄屋(さかなりょうり・なわや)」は、丹後の海の幸、山の幸を薪火で料理するというユニークな名店。料理人の吉岡幸宣(ゆきのり)さんは地元・京丹後市の出身で、京都市内の名門日本料理店で料理人としての経験を積んだのち、家業の仕出し店を引き継ぐ形で、日本料理店「魚菜料理 縄屋」を開店しました。2020年の店舗の改装の際に、薪(まき)を使って調理する現在のスタイルとなりました。扱いが難しい薪火を巧みに操り、お造りを除く、ほぼすべての料理は薪の火を使って調理します。通常、メニューは昼・夜ともに季節のおまかせコースのみで、天然の魚と自家菜園の野菜を中心とした使った料理およそ11品が登場。創意工夫に満ちた料理の数々に、常盤さんもすっかり「縄屋」のファンになったようです。

縄屋の吉岡さんは、変化する薪の火力に合わせて、ベストな食材と調理法を選んで料理に仕立てていく ©KBS京都/TOKYO MX/BS11

【次回放送情報】
■京都画報 第36回「海が紡ぐ極上の京丹後 -絶景×美食×刀剣-」
BS11にて9月11日(水)よる8時00分~8時53分放送
出演:常盤貴子

※ 放送後、BS11+にて9月11日(水)よる9時~ 2週間限定で見逃し配信いたします。

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旅行読売出版社 メディアプロモーション部
 
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