ここからしか見えない京都
  
模擬天守の伏見桃山城。外観は「洛中洛外図屏風」をもとに設計

徳川家康の天下人への足跡をたどる

2023年1月から放送開始される大河ドラマの主人公は徳川家康。各地で徳川家康ゆかりのスポットや地域がにわかに注目を集めている。

関ヶ原の戦いの前哨戦となった伏見城の戦いは、現在の伏見桃山城が舞台だ。家康が会津征伐で不在にし、鳥居元忠が城代を務めていたところに石田三成など反徳川派らが挙兵。後に伏見に戻った家康は、血のりの付いた床を各寺院に奉納し、菩提を弔った。これが東山区の養源院などにある血天井だ。現在は模擬天守だが、少ない戦力で立ち向かった忠臣らの姿を想像するに難くない。

秀吉が鬼門除けの神として伏見城に勧請し、後に家康がもとの場所に戻して本殿を造営したのが御香宮(ごこうのみや)神社だ。家康の死後も息子たちによって再整備され、大手門など伏見城の遺構が残る。また1990年から着手された修理によって、拝殿の華麗な極彩色が約390年ぶりに復元された。

南禅寺を再興した臨済宗の僧・以心(いしん)崇伝(すうでん)は、駿府に戻った家康に招聘され、政治顧問となった人物。「黒衣の宰相」と呼ばれ、その影響力は3代将軍・家光の時代まで続いたという。金地院(こんちいん)は、崇伝が居所にした南禅寺の塔頭寺院で、江戸時代初期から伽藍が整備され、小堀遠州作の茶室「八窓席」や広大な蓬莱式枯山水庭園、長谷川等伯や狩野探幽、尚信兄弟による襖絵など、将軍を迎えるための御成御殿の役割を担っていた。また家康の遺命によって建立された境内の東照宮は、久能山、日光と並ぶ由緒ある東照宮の一つ。

江戸時代初期、崇伝禅師によって移築、再興された金地院

関ヶ原の合戦に勝利した家康は、御所の守護と将軍上洛の宿泊所として元離宮二条城を築城した。豊臣秀頼との会見、その後の大坂冬の陣・夏の陣への出陣など、江戸幕府の幕開けの激動を見守ってきた。家康の足跡をたどるには欠かせないスポットだ。

二条城の二の丸御殿(国宝)。狩野派の見事な障壁画(模写画)が見もの

制作著作:KBS京都 / BS11

【放送時間】
京都浪漫 悠久の物語
「家康ゆかりの京をめぐる~伏見城・二条城・金地院~」
2023年1月9日(月) よる8時~8時53分
BS11(イレブン)にて放送

旅行読売
(2023年2月号より転載)

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