2025年は巳年(みどし・へびどし)、新春は干支の蛇にまつわる寺社を巡ってみたい。
京都の北の守護神として知られる玄武神社の祭神は、文徳天皇の第一皇子・惟喬(これたか)親王。社名の「玄武」は亀に蛇がからんだ中国の伝説上の神獣のことで、本殿前には亀にからむ蛇の石像が祀られている。また境内には玄武稲荷大明神と三輪明神の末社があり、すべてお詣りすれば厄除け、商売繁盛、延命長寿のご利益があるといわれる。ちなみに4月第2日曜に行われる玄武神社の「玄武やすらい祭」は、鞍馬寺の火祭、広隆寺の牛祭と並ぶ、京都三大奇祭の一つだ。
東山の清水坂に立つ日體(にったい)寺は、「洛陽十二支妙見めぐり」第6番札所の霊場。洛陽十二支妙見とは京都御所の紫宸殿(ししんでん)を中心に十二支の方角に祀られた北辰妙見大菩薩で、巳の方角(南南東)にあるのが日體寺だ。巳の北辰妙見大菩薩は鎮宅(ちんたく)妙見大菩薩とも呼ばれ、家を災いから守り、平穏をもたらすとされている。また妙見大菩薩の前に安置された「財運なで巳様」は、撫でると財運のご利益があるという。
伏見にある長建寺は京都で唯一、弁財天を本尊とする寺院。蛇は水や川の神とされることから、弁財天の使いや化身とされてきた。地元では「島の弁天さん」と親しまれ、秘仏の八臂(はっぴ)弁財天は毎年元日から15日まで御開帳される。開運、財宝、良縁などのご利益祈願に訪れる人が多い。さらにこの寺には頭が人で体が蛇になった宇賀神将像が。日本生まれの穀物の神様で、弁財天の頭上に乗っていたが、いつしか単体で造られるようになった。一般的に財をもたらす福神として知られる。
「花の寺」として有名な宇治の三室戸(みむろと)寺の本殿前にも、“狛蛇”の宇賀神像がある。実はこの石像、寺宝の宇賀神の木像(非公開)に似せて造立したもの。耳を触れば福が、髭を撫でると健康長寿に、しっぽをさすれば金運がつくといわれる。蛇の縁起にあやかって、新しい年の多幸を願いたい。
製作著作:KBS京都 / BS11
【放送時間】
京都浪漫 悠久の物語
「新春巳年~いろいろな蛇の福にあやかる~」
2025年1月13日(月・祝) よる8時~8時53分
BS11(イレブン)にて放送