日本三景の天橋立や、漁村の暮らしを今に伝える伊根など、日本海に面した京都北部の丹後地域では、古都とはまた違った表情をかいま見ることができます。今回、京丹後市出身で同市の観光大使を務めるタレントの太川陽介さんが、冬の丹後で次世代を生きる職人に出会います。
清く軟らかな水に恵まれている丹後地域は、9つの酒蔵が点在する地酒の宝庫。太川さんが訪れた与謝野町にある「与謝娘酒造」は1887年創業の老舗。敷地内の横井戸から流れる仕込み水と地元の米を使い、現在30種類を超える日本酒や日本酒リキュールを製造しています。
そして鳴砂の浜として有名な琴引浜がある京丹後市網野町では、提灯工房の小嶋庵を訪ねます。代表の小嶋俊さんは、江戸時代から京都市東山区で提灯を作り続ける小嶋商店の9代目の息子さん。奥様の祖父母が暮らすこの地に魅せられ2021年10月、家族で移り住みました。現在は竹割り、糸吊りと紙貼り、文字入れや絵付けと、分業制で提灯づくりを継承しています。
山と海のある丹後地域は、豊かな食材の宝庫でもあります。天橋立がある宮津市で、2022年6月に鮨割烹「西入る」を開店したのが、ポルトガル人のリカルド・コモリさんと奥様の美穂さん。古い蔵を改装した店内では、新鮮な地魚や丹後産の農産物をふんだんに使い、日本料理をベースに独自のエッセンスを盛り込んだおまかせコースを提供しています。
さらに太川さんは宮津市の山麓部にある上世屋へ。茅葺屋根の家や棚田など、日本の原風景が広がる小さな村は、「にほんの里 100 選」にも選ばれた知る人ぞ知る秘境です。
現在、人口は20人ほどで、その内の半数は移住者です。「藤織り工房ののの」の齊藤麻弓さんもその一人。藤の蔓から採ってきた繊維で作る古来の織物、藤織りの伝統技術を伝えています。
また、自然と共に生きる上世屋の暮らしに魅力を感じ、2019年9月に移住してきたのがベルギー出身のコードロン・ジュリアンさんと展子(のぶこ)さん夫妻です。お二人が経営する「KOHACHI beerworks」では、上世屋の素材を使ったベルギースタイルのクラフトビールを醸造しています。
■冬の京都2023 ~伝統息づく和の源流・丹後~
BS11にて2023年2月26日(日)よる8時00分~9時30分放送